「阿彦哲郎物語」「ちっちゃいサムライ」

2023.12.28

アクタン・アリム・クバト監督の上映後トーク

12月27日(水)『ちっちゃいサムライ 三浦正雄の子供時代』上映後トーク

ゲスト:アクタン・アリム・クバト(映画監督)(※オンライン)、佐野伸寿(監督)、佐野史将(三浦正雄役)

キルギスの国民的芸術家で本作にウビライ役で出演しているアクタン・アリム・クバト監督がオンラインで上映後トークに登壇した。当日は、三浦正雄役の佐野史将くんも参加、カザフスタンでの撮影を振り返った。

現在、新宿で最新作『父は憶えている』が公開中のアクタン・アリム・クバト監督。自身で出演もしているが、通常は自分の映画にしか出演しない。なぜ、『ちっちゃいサムライ 三浦正雄の子供時代』に出演することに決めたのだろうか?その経緯を佐野伸寿監督から投げかける。

「自分は役者じゃないから(オファーが来ても断っている)。だけどこの作品にはすごく惹かれた」と答え、それを受けて佐野監督は「幼い三浦正雄さんが『日本人ですか?』とアクタン監督演じるウビライに声をかけ、ウビライがニコッと応えるシーン。そのシーンが撮りたいがためにアクタンさんを呼びました」と今回のオファーの背景を語った。

「今回の作品はカザフスタン側監督にエルラン・ヌルムハンベトフ監督(『オルジャスの白い馬』など)や撮影監督にムラト・ヌグマノフなどの気心知れたスタッフがいて、自分の思い描いたように自由に演じられて楽しかったし、やりがいのある仕事になりました」と続けるアクタン監督。佐野監督は「アクタン監督には、自由に演じられるように、ウビライという役を自分で作り出し、思ったように動いてもらって、セリフにして欲しいと思って演出をしました」と短い撮影期間ながらも濃密な内容だったと当時を振り返る。

それに対し、アクタン監督は「今回とてもよい仕事ができたと思います。自分が映画監督とか役者という以前に、大自然の中で生きる一部になれたと思います。<自然と自分を同期して>表現する。逆に、私は役者じゃないからこそ、それができたのだと思います」と、雄大なカザフスタンの大自然に思いを馳せ、当時を振り返った。

三浦正雄役の佐野史将くんからは、「アクタンさんはすごく自然な演技で、僕も演技している最中にすごく惹き込まれました。すごく尊敬しています」と告げられ、それを聞いたアクタン監督は頷きながら頬を緩ませた。

トークの途中、オンライン中継の場所がアクタン監督の息子の家であることも明かされた。アクタン監督の息子、ミルラン・アブディカリコフさんも映画監督として活躍しており、世界の映画祭で評価をうけているという。佐野伸寿監督は、「ミルランさんも、子どもの頃からアクタン監督の映画に出演しています。僕も自分の息子の史将を出演させて映画を撮ってきました。でも、ミルランさんが一番最初に出演したのは8才で、史将よりもずっと小さい頃から映画にでていました。ちょうど今、ミルランさんも出演しているアクタン監督の『父は憶えている』も新宿で今上映しています。『ちっちゃいサムライ』をご覧になった方には、ぜひこちらも合わせて見ていただきたいです」と佐野監督。スクリーンごしに、二組の親子の共演を目撃した会場は、暖かい雰囲気に包まれた。

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